イタリアひとり旅行②〜水の都ヴェネツィア〜
あぁ、憧れのベニス
アドリア海の女王
水の都・ヴェネツィア!
一か所目にしてこの旅の要、そして目的でもあるヴェネツィア。
ヴェネツィア湾にできたラグーナの上に築かれたこの街には縦横に運河が走り、車はもちろん自転車すら乗り入れができない正真正銘の水の都。
唯一無二の街並みに胸を焦がし続けて十数年、ついにこの目で……
おそらく幼いわたしがここまで想いを強くしたのはこれのせい。内容もほとんど覚えていないけど。
朝食はホテルのバイキング
ふつう……って感じのお味と品揃え。
ひとりでむしゃむしゃしてたら同年代であろう日本人の団体さん(ガイドさん付き)がゾロゾロとご入場に。
急にさもしくなる。
ここからまだまだ一週間もひとりなのに。
「自然の中にいるときは孤独を感じないが、人の中にいるときは、孤独を感じる」
–––モンゴメリ
ひとりのときはいいんですよ、ひとりきりのときはね
メストレ駅
迷いながらも駅につき、ヴェネツィア本島に向かいます。
駅までにはトンネルをくぐる必要があるのですが、暗い・不潔・かなり長いという三重苦。雨水も滴っておりいやな湿気があります。
……下に散らばっていた銀紙の意味は……考えないことにする……
クレジットカードで切符を買います。
券売機には日本語もあったように思います。列車に乗るときに、乗り口近くにある機械で時間を押印しないといけないらしく……車掌さんの見回りもあったので忘れないようにしたい。忘れたら罰金だったかな?
陸路から水路へ、列車で島に入ってゆきます。
見慣れた陸の景色から海一面に変わっていく様子が、これから訪れるのがあの水の都であると視覚からも確かに知らしめるのです。
ヴェネツィアサンタルチア駅
ここから景色は見えないんです。
外の様子は見えません。それがかえって、目隠しをされているような気分でより高揚する胸。
ついに。
駅から出たその一歩目にこんな風景が待っているなんて、知らなかったんですよ。
どこまでも続いている水路、美しいエメラルドグリーンのドーム、レンガ調の建物全てに迎えられるなんて思ってなかったんです。
街並みで、風景で涙するなんて初めてでした。
よかったー!ついたよー!お母さん!
4年間のバイト代と、何時間ものフライトと、少しばかりの列車と、なにより自分ひとりきりでここまで来れたよ。
もしかしたら地球上でもう、わたしが行けない場所なんてないのかもしれない。
(東京遠征くらい余裕では?)
美しいベニス
名も知らない教会?かな、出会うもの全て美しい。今まで存在すら知らなかったものですら。
外国だ!
ヴェネツィアといえばやっぱり仮面
と、あてもなくブラブラ歩いていたものの。
ただただ広がる水路に放心しつつ、なんとか目的地を決めることに。
そうです完全ノープラン。まぁ、町全体が世界遺産文化遺産なので……
イタリアは世界でいちばん世界遺産文化遺産の多い国。イタリアを歩けば世界遺産にあたる。
とりあえず有名なリアルト橋を目指します。
迷いました。
水路と小道、そしてそれらを繋ぐ小橋。
「ここさっき通ったっけ」の連続です。ダメです。頼りのグーグルマップは道が細く混み入りすぎているためすぐに飛んでしまうのです。
ポケットWi-Fiの充電が切れ、予備充電でなんとか食いつなぎながら彷徨います。
地図でもあり、言語辞書でもあり、ガイドブックでもあり、カメラでもあるスマートフォン。
これなしでは本当に路頭に迷ってしまう。
いざというときは水上バスで駅まで向かおう、そこから記憶を頼りにホテルまで帰ろう、と折れた心を奮い立たせ半ば放心状態で歩き続けます。
と、
市場だ!
……露店だ!
なんとなく景色が変わってきたことでやっと希望を取り戻すわたし。
この辺の広場で日系かと思われる男性につけられ、人混みの中分岐の多い小道を走って逃げても後ろから追いかけられるという悪夢みたいな出来事にでくわしました。
最悪です。
死を覚悟しました。
ナンパ狙いなのか、プチストーカーなのか、もっと恐ろしいことを考えていたのですが、異国の地で若いひとり観光の女を何百メートルも追いかけるなんざ人間のすることではない。
「ここまできたら大丈夫だろう」とお菓子屋さんのショーウィンドウから外を見渡したら目が合いました。
店主に助けを求める覚悟をしたところで、その男は去っていきました。
現地の人ならまだしも、なんでこんな世界の果てですら日本人男性に恐怖と不快な思いを植えつけられるのか。
っていうか橋どこだよ!
なんだよこの人混み!
もう帰る!帰るぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!
と半ベソかきながら人混みに埋れていると
え?河?
ってことはもしかしてここが!?
リアルト橋
そうです、知らず知らずのうちにわたしは橋の上を渡っていたのでした。
「橋!橋!」と思いながら探していたのが仇になったようで、橋の上は橋というより商店街のような広さと大きさでした。橋の上にお店があります。
とにかくでかい。
白はうつくしい。河の青によく映えます。歴史ともに刻まれたくすみすらうつくしい。
そこからまたぷらぷら人波に流されます。
あてのない旅ですので、人の多い有名どころに辿り着けばそれでいいのだ。
イタリアといえば?
ジェラート!ピスタチオをいただきました。
イタリアのスーパー。
確かcoopといったかな?
なぞのお野菜
何もかもがサイズ規格外
わたしにとっての「異国」、非日常はここで生まれ生きている人たちの日常でもある。
散らばるのはパーティの跡。
そこらじゅうで売られているカーニバル用の紙吹雪です。小さい子が撒いていてかわいらしい。
ショーウィンドウがどれも素敵で、いちいち見入ってしまう。幻想的で、大きくて、色使いが鮮やか。
やっと憧れの地をたのしみながら歩けていた頃、見晴らしのよい広場にたどり着きました。
サンマルコ広場です。
なんかわからんけど建物
きれいな建物
逆光すごいめっちゃ高い塔
鐘楼
わからなくてもきれいだ。
Aぇ! groupに似合いそうだなぁとパチリ
静かな小道
オーナメントがヨーロッパの風を誘う
撮ってくれよ、とも言わんばかりに
ゴンドラに乗るかとってもとっても迷った挙句、今回は乗らないことに。
交渉する勇気が出ないのもあったけれど、なによりもう一度来るときに取っておきたくて。
ちょっとだけ後悔、してないこともない。
水上バスで手を打ちます。
ヴァポレットと呼ばれる交通機関です。
なお券売機がクレジットカードを読み込んでくれず、窓口で心を折られる。アジア人の小娘は舐められるのか、接客という概念のないお国柄なのか……
かわいいチケット。時間制で乗り放題、値段も手頃です。75分7.5ユーロ(900円弱)。
風が結構寒いんだこれが。
ただ、どこまでも続く一面の水景色を独り占めできます。場所によっては乗客も数えるくらいだったな。
ということで、半日程度でヴェネツィアはおしまい。
暗くなる前に帰るのがマイルール。
かわいらしいお人形もヴェネツィア仕様です。
ヴェネツィア本島を出ます。
またいつか来れる日まで。
そしてテキトーに入ったお店でニョッキを食す。店内はわたし一人。良い店員さんでした。
怖い地下道
この辺はまだ明るくてきれい
暗くなるまでに帰りましょ
おまけのよしのり